2009年11月28日(土)
まつ毛が長くなる薬について
最近、ファッション誌の広告に「まつ毛が太く長くなる」という治療薬の広告を目にします。
FDA(米国医薬品局)が世界で初めて承認したまつ毛貧毛症治療薬です。
昨年末、このニュースが流れると、日本では薬事未承認の医薬品であるにもかかわらず、インターネット上でこの薬に関するサイトができ、個人輸入によって使用しているかたもいます。
確かに、まつ毛が長く、太く、濃くなるのは魅力的です。
しかし、いい面だけが宣伝され、瞼の色素沈着や、感染症などの副作用は隠されている現状があります。
そこで、元東京大学医学部形成外科教授で、現在杏林大学形成外科教授の波利井 清紀先生が中心になり、まつ毛の美容に使用される薬剤の適応、効果や安全性について臨床研究を行い、 まつ毛貧毛症に対するより良い治療法の研究を目的とした研究会が設立されました。
夏に開催されたこの研究会に私も参加してきたのですが、次のような情報がありましたので、皆様に御報告いたします。
まつ毛貧毛症治療薬
主要成分:ビマトプラスト(プロスタグランディンF2アルファ誘導体・・
緑内障の薬として使用される成分)
効能:毛周期における成長期の延長・・まつ毛の長さの伸長
休眠状態にある毛包の刺激・・まつ毛の厚みや太さの増加
メラニン合成の活性化…まつ毛の色素沈着・・まつげが黒くみえる
副作用:
眼障害:結膜充血、眼のかゆみ、刺激感、乾燥、眼瞼の赤み、乳頭症
皮膚及び皮下組織障害:皮膚色素沈着
禁忌:ビマトプラストまたは本剤に含まれる他の成分に過敏な人
広告ではどうしてもいい面だけが強調され、副作用については記載がないことが多いのです。
研究会の討論でも、まだまだわからないこともあるので、慎重に使いましょうという結論に終わりました。
元来、緑内障といって、眼圧が高くなり、視野に異常がでたり、失明にまでいたる病気の治療に使う薬が成分ですので、眼圧が正常な人に使うとどうなるか?ははっきりしていません。
もし、この薬でまつ毛を長くしたいと希望するかたがいらっしゃいましたら・・
インターネット販売ではなく、この薬を取り扱っていて、アフターケアをしっかりしてくれる(勉強している)医療機関で購入されることをお勧めいたします。
[西井皮膚科クリニック] 西井貴美子
Posted at 14時24分
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