2011年05月08日(日)
ストレスと肌
この度の地震・津波・原発事故等により被災された皆様に心よりお見舞い申し上げます。
一日も早い復旧と皆様のご健康を心からお祈り申し上げます。
東日本大震災から2カ月が経とうとしています。
余震とは思えない大きな地震,1カ月前にもありました。
被災地の方々はもちろんのこと,東日本の人たちは,またいつ来るかわからない余震や原発事故の恐怖と,そして日本中の人たちが,先の見えない「不安」や「ストレス」を抱えて生活しています。
震災後,こういったストレスによる肌状態の悪化を訴えられる患者様が多く来院されました。
- 地震,停電で食事のバランスが悪くなり,ニキビができた
- 地震後,不安で熟睡できず,肌の調子が悪い
- 生活のリズムが狂って,肌のコンディションがよくない
皮膚は、外からの異物を入れないよう防御する「バリア機能」,
そして侵入しようとする菌や異物を攻撃する「免疫機能」という役割があります。
そして、水分を蒸発させない働きもあります。
ストレスにより,ニキビやアトピー性皮膚炎が悪化することは,日常の診療においてもよく体験することです。
どうしてストレスにより,肌は影響を受けるのか,興味あるところです。
この4月,横浜にて日本皮膚科学会総会が開催予定でしたが,震災の影響で中止となりました。
この学会で「皮膚疾患の心身医学的アプローチ」という講演が予定され,そのプログラムに,「急性ストレスでは末梢神経から放出される神経ペプチド(神経が分泌するホルモンなどの総称)の炎症反応増強作用による皮膚炎の悪化,慢性ストレスでは内因性グルココルチコイド(副腎皮質から分泌されるステロイド系のホルモンで,血糖量を上昇させる作用や,ストレス反応の中心的役割を果たすアドレナリンの作用を助長するといった作用をもつ)によるセラミド合成障害にて,皮膚のバリア機能が障害される。
そして実験的に,ストレスを伝達する物質が皮膚バリア機能障害を誘導することを明らかにした」との内容が記載されていました。
ただこの実験は,設定された条件下でも必ず同じ結果にならないとも記載されており,ストレスの感じ方の違い,ストレスへの対処方法の違い,そのときの身体的状況により反応が異なるのかなどと,その理由を私なりに考えてみましたが,ぜひ次なる機会にこの発表を聴きたいと思っております。
「皮膚(肌)は第三の脳である」と資生堂新成長領域研究開発センターの傳田光洋さんは提唱されています。
そして,神経系が密集している腸を「第二の脳」と呼んでいます。
たしかに,無意識のなかで感じる腸や皮膚の感覚は,脳以上に敏感ですよね。
ストレスを感じているときに,それを無視しようとしても,食欲は落ち,お腹の調子も悪くなるし,お肌の状態も悪くなりますよね。
ストレスを感じているときこそ,無意識に感じられる安らぎ,温かい優しい食事をとったり,お気に入りのタオルや人やペットの温もりに触れたり・・・大切ですよね。
[赤井クリニックスキンケア] 赤井惠子
Posted at 17時27分
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