隠居医者の独り言

フクタ皮フ科院長の「独断と偏見」によるブログです。

2005年10月27日(木)

健康の秘訣 [診察室より]

外来診察中、患者さんと話をしていて気付くことですが、病気になった人の話を聞いていると、共通項が出てくるのです。1つは、会社・家からほとんど外へ出ない(車の中も同じ)、例えば、会社で残業ばかりしている、子供が部屋でパソコンやゲームばかりしている等。もう1つは、私はこうしなければいけないと、自分を叱咤激励して頑張っていることです。

しかし、人間の身体は、機械(人工物)ではないのです。生身の身体は、自然のものであります。うまくやろうという意識について行くことができなくなると、自分の身体の弱い部分に、病気という信号を出してくるのだろうと思います。

別な見方をすると、人間が使うものは、筋肉と頭脳(意識)なのですが、頭脳は前向きにエネルギーを使う場合(夢・希望・生き甲斐)と、後ろ向きにエネルギーを使う場合(不安・心配)の2つに分けられると思います。私は、前者を頭を使うと言い、後者は気を使うという言葉を使用します。

エネルギーを基準に考えれば、人間は筋肉を使用すること、頭を使うこと、気を使うこと、この3者に分散出来ます。病気になった人を観察していると、筋肉も頭も使用せず、ひたすら気を使って、うまくやろうと生活している人が多いようです。

結局、この逆をすればいいわけで、健康の秘訣は頭と筋肉を使って、気を使わないように生活することではないでしょうか。

Posted by 福田金壽 at 09時40分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2005年10月25日(火)

身体は正直 [健康管理]

50歳の頃、体重100kg超、血圧130mg/Hg、夏にはクーラー病の症状が出始めた為、知り合いの、漢方を主体に治療をしておられる先生に相談したところ、それは「養殖ハマチ」と同じだと診断されました。

このままではマズイ、将来は糖尿病から始まって、心筋梗塞のパターンだな、と感じていました。(祖父:糖尿病、父:心筋梗塞の既往歴あり)

そこで、50歳を契機に、人生リセットしてやりなおしと決めました。何をどのようにすると決めたかといいますと、食事・酒については今までどおり何の制限もしない。食いたいもの、飲みたい酒を、死ぬまで思いのまま楽しむ為にこの決意をしたのに、これを制限したのでは何の為かわからなくななります。

決めたことは、診察時間の合間に、1回1時間半程度の散歩をする。これを、1週間に最低4回以上する。たったこれだけなのです。近くの五條川の堤防が散歩道になっている為、ここを散歩することが多かったのですが、その日の気分により、色々散歩道は変えて散策を楽しみました。

すると、3ヶ月後頃で、体重も10kgほど減少して、血圧も正常域に戻ってきました。半年ほど続けた夏には、体重も15kg位減少して、クーラー病もなくなり、体調は非常に良くなりました。

この時点で、体はタイヘン正直だなと感じました。たった半年間運動をしただけで、これだけ変わるものだと、自分の体を通して実感したのです。

Posted by 福田金壽 at 10時14分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2005年10月24日(月)

参考になります [診察室より]

小学校低学年の子供を持つ、三十歳代のおかあさんが、1ヶ月ほど前に、胸と背中にいっぱいニキビを作って来院されました。県内に嫁いでおられますが、実家は当診療所の近くにあるのです。

例のごとく、心と体のバランスの話をして、外用剤(ローション)を処方して帰っていただいた方ですが、「最近、小学校の行事が多くて、湿疹が出来ちゃった。」と言って、また来院されました。

「言われることはワカットルでしょう!」と言うと、「充分わかっとるけど、先生の顔が見たくて来たの。」と始まって、いろいろ話をされるのです。

「それじゃ、最近気を付けていること、書いてちょうだい。自分の為にもなるし、後で他の患者さんにも参考になるようにしたいから、ぜひ協力してください。」と言って、紙と鉛筆を渡したところ、このように書いてくれたので、彼女の文章をそのまま掲載させていただきます。

 ・何もせずゆっくりするときを作る
 ・できないことはできない
 ・意地を張らない
 ・素直になって頼る
 ・頑張りすぎない
 ・疲れたときは「疲れた」と声に出して周りの人に言う
 ・一人で何でもこなそうとしてかかえこまない
 ・自分は自分、他の人と競わない
 ・無理をせず周りの人に協力してもらう
 ・力を抜く
 ・我慢しずぎない

簡単なようで、なかなか実行できないことです。皆さんも、ぜひ参考にしていただきたいと思います。

Posted by 福田金壽 at 10時32分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2005年10月21日(金)

瑞林寺での講話 [活動記録]

画像(125x180)・拡大画像(446x640)

瑞林寺の娘さんが作ってくれたポスター

「心とからだのバランス」
日常、診察室で患者さんと色々な話(問診)をしながら、何が病気の原因であり、どうしたら良い状態に向かって行くのかと考えている訳であります。薬を使って一時的に良くなっても、中止してしばらくすると再発します。また、同じ薬を使っても、非常に良く効く人がいたり、あまり効かなかったりもします。副作用の出現を見ても、患者さんの状態によって、出方に差があるように感じていました。

この違いはどうして起こるのだろうか、と考えてみました。そんなとき、『バカの壁』の著者、養老孟司先生の『さかさメガネ』を読んで、「これだ!」と思ったわけです。

人はそれぞれ言葉を使って自分の頭の中を表現しようとする訳ですが、ここに第一の問題が出現するのです。それは人それぞれ価値観が異なるということです。それを、言葉という便利なものを使って、他人と会話をする訳ですが、頭の中に浮かんでいるイメージは、若干異なっている訳です。この違いが、ほとんど苦にならなく相手の頭の中のイメージが伝わる人と、伝わらない人がいるのです。これが俗に言う、波長が合うとか、合わないということだと思います。

他方では、人間は一人では生きて行けない存在なのです。共同生活しなければ、本当は生きて行けないのです。そこには、十人十色の経験の中から生まれた、成功体験があるのです。この成功体験を経験すると、非常に気持ちが良く、脳の中にしっかりと固定されます。そうすると、どうしてもその成功体験に頼って、再度、現実の問題を処理しようとします。これが「クセ」なのです。

画像(180x119)・拡大画像(640x426)

我々日本人は、民族的に「チームプレー」が得意なのです。この為には、自分を押し殺して、ある目的に向かって邁進することが好きなのです。(この風潮も、世の中の情報をインターネット等で瞬時に見ることが出来るようになった現代では、少し変化してきていると思いますが。)そして、頭の中では、人それぞれ複雑な回路がからみあっているにもかかわらず、意識の出力は「うまくやろう」の一方通行が基本形です。

この「うまくやろう」がくせ者なのです。自分の体力、気力がついて行くうちはこれでいいのですが、人は必ず老化します。老化とは、私は、体力・気力の衰えと、頭と心の柔軟性の低下と考えています。老化現象を起こす体と、「いつも同じ私」という意識の差が大きくなると、体は病気という信号を出すのです。

このように、一人の人間の中で、うまくやろうとする意識と、それについていけない身体が、対立する場合が、病気の始まりではないでしょうか? こんな事を考えながら、檀家の皆さんと会話を楽しみました。

Posted by 福田金壽 at 20時21分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

2005年10月18日(火)

医者冥利に尽きる [診察室より]

お昼前、先週の金曜日に、下腿にあずき大のとってもかゆいしこりがどんどん拡がって、がまん出来ないことを主訴に来院された、50歳代前半の女性が、ニコニコして「先生、かゆみがなくなりました」と、喜んで来られました。

当日の診断は、慢性湿疹(下腿)。処方はトクダー厶(ステロイドのテープ)外用と、リンデロン2錠と二ポラジン(抗ヒスタミン剤)1錠を寝る前に内服。これだけです。

例のごとく、「意識と身体のバランスの乱れ」について説明して、バランスを合わせる為には、これからコンビニへ行って、弁当とお茶を買って、自分の気分の良い自然の地(山・川・森・海、どこでも良い)へ行き、お弁当を食べてから家に帰りなさい、と告げておきました。

患者さんは、忠実に実行したのです。(初診で午前中に来院の患者さんには、すべて、このようにアドバイスするのですが、実行する人は10人に1人位)
「そしたら、とっても気分が良くなり、その日からかゆみが減り、2〜3日後にはかゆみがなくなりました。」

そして、患者さんはこう続けました。
「こんなこと言ったことなかったんですが、日曜日の朝、おとうさんに、モーニングサービス付きの喫茶店に連れて行ってちょうだい、とおねだりして、朝ごはんを作るのをやめました。そしたら、体はこうしたかったんだ、ということが良くわかりました。」と、喜んで一気に話されたのです。

私は、「それは良かったですネ。意識と身体のバランスが合ってくれば、元々の自然治癒力、新陳代謝、免疫力すべてがいい回転をして、自然に治っていきますよ。ただし、現代社会は、ノルマ、効率、お金等、意識と身体のバランスがくずれやすくなっていますので、心と体の“手入れ”と思って、ときどき散歩したり、ピクニックに行くようにしてください。これは田んぼの草取りのようなものです。薬というのは除草剤のようなもので、最小限の使用にしてください。使い過ぎれば必ず副作用があります。」と伝えておきました。

患者さんは、何度もお礼を言って診察室を出て行かれましたが、これこそ医者冥利に尽きると思いました。

Posted by 福田金壽 at 16時05分   パーマリンク   トラックバック ( 0 )   コメント ( 0 )

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福田金壽

生まれ故郷の江南市布袋町で、皮膚科医院を昭和57年に開業しました。その間、数多くの人々の所謂「生老病死」に医者として関わってきました。
私なりの「独断と偏見」の人生観が出来上がってきたようですので、隠居医者の独り言として、記録に残してみようと思います。

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